女性 学生 20代

●病歴 3-4年前より、起床後突き上げるような肩・首の痛みがあった。数日後痛みが解消されたと感じたが、徐々にまた痛みが戻ってきた。ここ2年以上、吐き気を伴う頭痛になやまされている。

MRIで頸椎や肩部に異常なし。普段は湿布、筋弛緩剤とビタミン、酷くなるとステロイド注射を行う。一年ほど、抗不安薬、睡眠導入薬も追加となっている。

●所見 下腿に浮腫、冷え。腹皮拘急(腹直筋緊張)。舌燥・老。腎虚陰虚証(浮・大)

●一診 締め付けられる様な頭痛。肩は鉄板が入っている様。感覚はないようで、とても不快、重苦しい。常に軽い嘔吐感あり。酷くなると外出できずに寝込むとのこと。薬を飲むと、全ての症状がおさまる。運動制限やしびれはない。ペインスケール(痛みの指標0~10)9。

虚弱体質ではないが、神経が鋭敏であったので、大事をとって接触鍼(刺さない鍼)と、一番細い鍼で軽い刺激を全身に行った。陰気(身体の水分)が不足し、上半身に熱と気が溜まり、下半身はお血がみられた。(血の流れが悪く、停滞する)

腎・肝・募穴を中心に、下半身の補養と冷えのぼせの解消を目指す。主訴の肩首は軽刺激に努める。足関節・頸部を中心にカーボン照射。 

●二診(3日後) 特別の変化なく、痛みも変わらないとのこと。

少し刺激を加えてみる。鍼を0・2ミリ太いものに変え、首・肩の部分的に様子を見て鍼通電を行う。全身治療は前回とほぼ同じ。

●三診(一週間後)

治療後、快癒した感があり、一日だけ試しに薬を止めた(ビタミン剤は飲んでいる)という。ここ2年で初めて薬を飲まずとも嘔吐感がなかった。頭痛もない。週の後半になって少し張ってきた。痛みがないので眠れるとのこと。薬に関しては一度病院で相談頂くこと、一週間空けないように来院くださるようお話。

●四診(5日後)

大部良くなってきた実感があり。薬も減ったとのこと。今日は薬を飲んでいない。

その後は季節の変わり目など、数か月に一度来院し、調子が悪ければ数回施術する感覚で来院。一年経った今も、たまに肩は張るが、以前のように吐き気や頭痛を伴う痛みはないとのこと。

◎肩周辺のコリなどには、重症度に余り相違なく、即効性の効果があります。約1回~3回ほど施術させて頂ければ、どれほど重症のこりにも改善の実感が得られるようです。鍼灸の良い点は、改善が一時的でないところです。何年も苦しんだ肩コリが、施術後に同じ痛みとして戻ることはまずありません。