●50代女性 主婦

病歴 2か月前より、排尿した後、強い残尿感と痛み、ジーンとする膨満感がある。泌尿器科にてエコー検査を行ったが、特に細菌が検出されないと言われた。ごく軽い膀胱炎でないかとのこと。婦人科ではホルモンが減少しているが、特別異常はないとのこと。抗生物質2週間目だが、状態が変わらない。他心療内科受診中。漢方と安定剤服用中。

所見

腹診ー実の虚 上腹堅く膨満感、胸脇苦満あり、小腹不仁。腹筋群が乏しい。

舌診ー歯痕、他問題なし

脈診ー左右ともにやや沈候、遅、細。病脈は(左)弱⇔濡脈  腎虚陽虚症

他、狭窄症もあり、円背、腰椎やや左側弯。

不安になりやすく、排尿のこともだが、他に何か変化があると気持ちが不安定になる。

一診 腎、肝、任脈の経絡を中心に調整していく。とにかく小腹から、下肢足先まで冷えが強い。下肢、腹部、仙

骨部に灸を多用。下腹部の「子宮」穴あたりに入念に接触鍼、カーボン照射。

二診 施術後、少しは良かったが、また夜から頻尿と痛みが続いて辛かった。自律神経と残尿感の波が酷い。

自律神経へのアプローチも加え、弱刺激で頭部、胸部にもはり・きゅうを行う。足裏、仙骨部にもカーボン照射。

下肢の腎の穴、腹部、仙骨部を中心に施術を行う。

四診 排尿時のジーンとする痛みが多少とれている。ただし、勢いがない。気分的にもちょっと落ち着いている。

五診 以前あった、排尿時と歩行時の痛みが取れてきた。座っている時に発痛がある。本当に膀胱炎かと不安感がある。

七診 ジーンとした感じは久しくみられない。尿量も増えた感じがあり、夜間も起きなくなった。便が堅いので何とかしたい。

八診 気分的に前向きになり、植木の作業をしたら頸部が痛くなり、吐き気がした。膀胱は波があるが、調子が良い。

●その後は頸部も快癒し、排尿の方も大部落ち着かれたとのことで、施術は一旦終了としています。精神的不安が膀胱にも大きく影響を与えていた例と思われます。3か月の間で9回の施術内容でした。